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「ああ、学校の怪談さんですよね。皆騒いでますよ、あなたの笑い声が色んな所から聞こえてくるとか」
スケッチブックを開きながら、面倒くさそうに反応すると。
「私は芽衣子。生前は有坂芽衣子って名前だったなの。そりゃあね、誰だって幽霊になったら一度はやってみたいじゃない、人を脅かすこと」
宙で一回転してから、僕の顔の目の前まで顔を近づけてきた。パッチリした黒目がこちらを見ているが、その瞳に映る僕はーーなんて常套句は言えない。
映るも何も、透けてるんだから。
「芽衣子、さん」
「そうよ、浦沢チョクセイくん」
……え?
「何で僕の名前、」
「言ったでしょ、私は何もかもお見通し……」
「間違うんですか、チョクセイじゃなくてナオです。確かに漢字は直生って書くから音読みすればそうなるけど」
「えっ……ええ!? そうなの!?」
驚きの真実。いくら幽霊でも、名前の読みまでは当てることは出来ないらしい。この人が単にマヌケなのか、何なのか。
恥ずかしいを連呼して空中をグルグル回るから、急に可笑しくなって僕は吹き出した。
すると、芽衣子さんの動きが止まった。
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