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「チョク……じゃなかった、直生くんも笑うのね」
どういう意味だろうか。芽衣子さんは今度は嬉しそうに微笑んで、触れない僕の頭を撫でる素振りをした。
「ふふ、私たち仲良くなれたらいいな。直生くんは……やっぱり幽霊なんかいや、かな」
そんなに寂しげにされたら、いくら僕でも断れないでしょう。ゆっくり首を横に振る。
「僕で良ければ話相手になりますよ」
有坂芽衣子。学校の怪談の正体は、黒髪のーーお茶目な美少女だった。
「やった! ねえ、またここで会いましょうよ、待ってるから」
差し出された左手の小指。どうすれば幽霊と指切りは出来るんだろう。少し考えて、鉛筆を持っていた右手の小指を彼女の指の見えるところまで持っていき。
「わかりました。また会いましょう」
温度のない約束を結んだ。
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