0人が本棚に入れています
本棚に追加
完全に予想外のメグからのメールを、俺は改札をくぐってから開く。
「おはようございます。昨日は突然落ちちゃってごめんなさい」
礼儀正しい子だな。気を使うタイプなんだな。俺はそう思った。
もしかしたら、女の子なら別の見方をするのかもしれない。でも、俺はそう思った。
「気にしないで」
そう返した俺への返事は、五分くらい置いてから来た。すでに俺は電車の中だ。
東京のような満員電車ではないから、メールは充分見れる。
「ありがとう。そういえば、ヒラちゃんと仲いいんですね。知り合いなの?」
「いや、グルに誘われるまで知らなかったよ。そんな仲いいかな?」
ヒラは管理人だから、気を使ってるだけだと思う。けれど、その俺の想いはメグに否定される。
「仲いいよー。グルの雑談見てきたけど、すごく会話が弾んでたもん」
「確かに会話は楽しいね」
そこで、メールが途切れた。五分の感覚が、十分になる。
自覚のないまま俺は、何回も携帯を見ていた。
電車がホームに着く。改札を抜けてまた携帯を見ると、返事が来ていた。
「そっかあ。よかったね。気のあう人ができて」
「まあね。でもメグと話すのも楽しいよ」
「……え? 本当に?」
「うん。グルって初めてだけど皆楽しい、いい人ばかりだよね」
俺は無邪気にそんな事を書く。
それがメグにどういう印象を与えるのか、まったく考えもせずに。
現実にはありえないような、そんな返事。
少し考えればわかることを、俺は考えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!