三章 募る想い

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 雑談板に戻ると、人であふれかえっていた。  俺がしばらく自己紹介を読んでいたので、急に消えたと思ったヒラが書きこんでいた。 「あれ? ダイ落ちた?」  そこに、メンバーがすかさず書きこむ。 「落ちたんじゃね?」 「というか、ヒラとダイのやり取りが最近面白過ぎる」 「もう付き合えよ」  ……は?  なぜそんな煽りになる? 「わたしらは見世物か」  ヒラが拗ねた書き込みをするが、誰も止まらない。 「っていうか、ヒラがこんだけ絡むの久しぶりじゃない?」 「そうだね。実は気に入ってるでしょ」  女性陣からの追及。欠片の容赦もない。 「そうだね。気に入ってるよ。楽しいもん。うらやましいかー!」  逆ギレ気味のヒラの書き込み。  こりゃ、俺が書きこんだら余計荒れるよなあ……。  俺はそのまま、黙ってグルを落ちることにした。  そして、数分後。  メグからのメールが届いた。 「ヒラとつきあうんですか?」  なんでだ。 「いや、周りが勝手に言っているだけだから」  俺の返事に、またすぐメールがくる。 「そうなんだ。よかった」  よかった、ってどういうことだ? 「よかった、って?」 「なんでもないです。まだ寝ないんですか?」 「うん。もう少し起きてる」 「じゃあ、グルにはいかないの?」 「行きづらいからなあ」 「あはは。そうだよね。じゃあ、わたしとしゃべろうか」 「ありがとう」  他愛ない会話をかわしてから、おやすみ、と締めて眠りにつこうとした俺は、グルを始めてから深く眠るようになったはずなのに。  ――よかった。    その言葉が気になって、中々眠れなかった。
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