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それからしばらくが過ぎた。
俺はNIOに入り、グルでみんなと雑談することをすっかり日常の一部にしていた。
土日、家族といる時間はもちろん入れなかったが、それ以外の自由な時間はほとんどをグルで過ごしていた。
色んな人と話すが、それでも一番盛り上がるのは、ヒラか、メグと話しているときだった。
楽しかった。
ただ話すことが、楽しい。
時間がたつのを忘れるほど、楽しい。
会話を終わらせるのが名残惜しいほど、楽しい。
変わらない日々の中で、思い出した気持ち。
それが、俺が忘れていたもう一つの気持ちを、表に出す。
――いや、違うな。
明確に、もう持ってはいけないもの、としていた気持ちだ。
忘れていたんじゃない。
思い出さないように、していたんだ。
心の奥に、丁寧に鍵をかけて閉まっていた。
傷つけないように――
傷つかないように――――
その箱を開ける鍵は、やっぱり一通のメール。
「明後日から、イベントやります」
ヒラから全員に向けて発信された、グループ通信。
――鍵は、差し込まれた。
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