四章 イベント

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 イベント告知という、初めてのグループ通信を受けた日の夜。  雑談板は大賑わいだった。 「こんばんは」 「ダイこんばんは。イベント参加するの?」 「いや、考え中。イベントって何するの?」  いきなり尋ねてきた仲間に、俺は正直に答えた。  そしてついでとばかりに、内容を尋ねる。  返ってきた答えは、『疑似カップル』イベントをする、というものだった。  俺にはどうにもピンとこないが、つまりは参加希望の男女の人数を揃え、グル主であるヒラが指名してペアをつくり、専用のカップル板を作る。  そこでお互いを最優先に絡むことで、親密になるというものらしい。  俺は一旦携帯を脇に置いて、少し考える。  ――どうしたもんかな。  グループは暇つぶしに登録したものだ。  だから俺は恋愛グループと言われているここで、毎日雑談を楽しんでいる。  その延長線と考えれば、イベントを楽しむのも、いいだろう。  けれど、疑似とはいえ、バーチャルカップルになる、ってのは多少抵抗がある。  俺は思わずリビングから後ろを振り向いた。  そこは暗く電気が落ちていて、相変わらず起きてくる気配もない。  休日、一緒にいても付き合っていた頃のドキドキ感は、今はない。  それでも、この家には確かな安心感がある。  それを作ってくれているのは間違いなく、妻と子どもだ。  恋愛から家族愛に変わっても、大切な存在、ということには変わりはない。  疑似カップルは、裏切りにならないか。  それは、バーチャルに踏み込みすぎではないか。  悩みながら、再び携帯を手に取る。  一番上には、参加希望者、という板が出来ていた。  中を見ると、数人の名前がすでにあった。  もうほとんどカップル同然になっている二人もいたし――  ――それから、メグもいた。
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