四章 イベント

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 どくん。  わずかに心臓が跳ねた。  その音を、自覚する。  どくん。  彼女が誰かとカップルになるのを想像してしまう。  どくん。  落ち着け、動揺するな。所詮、ただのイベントだ。  どくん。  それでも、その間メグは誰かとカップルになり、イチャイチャするわけだ。  どくん。  バーチャルだ。所詮、バーチャルだ。考え過ぎることはない。  どくん。  ぐるぐると渦巻く思考に翻弄され―― 「参加します」  俺は、そう書きこんだ。  どうせバーチャルだ。家族を裏切ることにはならない。  確かに感じている後ろめたさを隠すように。  俺は、自分自身に言い聞かせた。  それが、どこまでも矛盾だらけの論理であることに、俺は気づかなかった。  あるいは――気づかないようにしていたのかもしれない。
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