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どくん。
わずかに心臓が跳ねた。
その音を、自覚する。
どくん。
彼女が誰かとカップルになるのを想像してしまう。
どくん。
落ち着け、動揺するな。所詮、ただのイベントだ。
どくん。
それでも、その間メグは誰かとカップルになり、イチャイチャするわけだ。
どくん。
バーチャルだ。所詮、バーチャルだ。考え過ぎることはない。
どくん。
ぐるぐると渦巻く思考に翻弄され――
「参加します」
俺は、そう書きこんだ。
どうせバーチャルだ。家族を裏切ることにはならない。
確かに感じている後ろめたさを隠すように。
俺は、自分自身に言い聞かせた。
それが、どこまでも矛盾だらけの論理であることに、俺は気づかなかった。
あるいは――気づかないようにしていたのかもしれない。
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