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騙し騙し仕事を終わらせて、板を見る。
「ねえ、今夜で最後だよ。ダイ、きちんと話そう?」
メグからの書き込みを見て、俺は歯を食いしばる。
――そうだな、きちんと話そう。
ヒラからの言葉も、メグとのこのイベントも。
逃げてはいけない。
もういいや、って捨てるのは簡単だ。だって、バーチャルなんだから。
でも――それは画面の向こうにいる、メグとヒラ、って人間をバーチャルに貶める酷い行為だ。
このグループはバーチャルだけれど。
そこにいるのは、ゲームのキャラクターじゃない。
楽しければ笑い、悲しければ泣き、嫌なことがあれば傷つき、そして――恋だってする。
灰色だった俺の日常に、色を塗ってくれた彼女達に。
傷つけるかもしれないけれど、せめて心からの気持ちで答えよう。
「そうだな。ちょっと聞いてくれるか?」
「真剣だね、ダイ。でも嬉しいよ……わたしも、真剣だから」
メグの返事は、いつも俺をゆったりした気持ちにしてくれる。
張っていた肩からわずかに力が抜け、返事をする。
「ありがとう。じゃあ――」
さあ、向き合おう。
俺たちのそれぞれの、恋心。
どれとどれが重なるのかを、確かめよう。
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