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短い一文。それでも俺には、メグが強い感情を持って送ってきている、ということがはっきりとわかった。
「恋愛グループってね、バーチャル恋愛を楽しむところなの。みんな現実に疲れて、癒しをもとめて、現実と違うものを探しに来るの」
俺には、返す言葉もなかった。
確かに、俺もそれを求めて参加していたのだから。
大前提を忘れかけていた俺に向かって、メグの言葉が続く。
「だから、リアルにどう、ってのは考えなくていいの。みんなそれくらいわかっている。だって、わたし達はもう大人なんだから」
メグの言葉が、固まっていた俺の心を解きほぐしていく。
「それでも、わたし達は恋をしたいの。バーチャルでいいから、輝きたいの」
そうだな。その通りだ。
俺は心の中で頷いた。メグって本当に俺とよく似ているよな。
「だからダイが気にかけないといけないのは、ヒラの現実じゃないよ。今ここで、ダイが誰をどう思うか、ってことなの。本当に、それだけでいいんだよ」
俺は眼を閉じた。
そして、メグはどんな表情でメールを打っているのか、なんて考えた。
「いつかの破綻なんて気にしていたら、恋なんてできない。いつかは終わる、って皆知ってるもん。でもそれは……現実だって、同じだよ?」
微笑んでいるんだろうか?
泣いているんだろうか?
もしかしたら――その両方かもしれない。
「だから、わたしも自分に素直になれるの。この、バーチャルの世界なら」
そこで、メグのメールは終わっていた。
その意味を考えて――気づく。
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