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(俺が持ってるのは美里ちゃんが返してくれた、この《ルナ・ブルーダイナソー》一枚のみ……。これじゃデュエマはできないな)
隆侍が一枚のカードを取り出して、そう考えた──時だった。
その《ルナ・ブルーダイナソー》が突如、光を放ち始めた。
直視ができる程度の淡い光だったが、他にも大きな変化があった。
「っ!! カードが増えた!?」
一枚しか持っていなかったハズの右手には、気付けば何十枚ものカード束が握られていた。
過去の話とはいえ、デュエマをやっていた隆侍には分かった。
この厚みは、デッキとなる四十枚とほぼ同じだと。
(…………両面イラストのカードが二枚と、通常カードが四十枚。本当にデッキになってる)
その中身はほとんど知らないカードばかりだが、三年も離れていたので知らなくても仕方がないと考える。
どうして《ルナ・ブルーダイナソー》がデッキとなったのか、その理由は不明だったが隆侍は深く考えないことにした。
(とにかく、これでデュエマができる。不可思議な現象の連続で頭がこんがらがりそうだが、デュエマをしなきゃ、この闘技場みたいな空間からは出られなさそうだしな)
美里の安否を確認する為にも、早く青い空間に戻らなければならない。
だから隆侍はデュエマを推してくるこの闘技場的な空間から戻るには、デュエマを行わなければならないのではと推理したのだ。
自分の手でデッキをシャッフルし、五枚の手札と五枚のシールドを用意する。
そして三十枚となったデッキと二枚の超次元ゾーンのカード、更にシールドを浮遊板の上に載せる。
ゲームを始める準備を終わらせた隆侍は、レッドゾーンに向けた宣言した。
「デュエマ、スタートだ!」
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