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いきなりパワーが一万を越えているトリプル・ブレイカーの出現。
足に付いているタイヤを使い、一気に隆侍の方へと接近してくる。
ま、マズい!! と隆侍は一瞬で危機を悟る。
幸運にも普段から鍛えている身体は、彼の脳からの指令を瞬時に聞き入れ、後ろへと跳躍する。
直後、爆音と共に《レッドゾーン》の正拳降ろしでさっきまで彼が立っていた地点が一気に抉られる。
一歩下がっただけの隆侍に、飛び散る土が強く打ちつけられる。
(いっつ! ……でも、あの拳が当たってたらこんなもんじゃなかったよな)
土に混じった小石によって薄く裂けてしまった目下の皮膚から血が流れる。
それを拭いながら、隆侍は恐怖する。
同時に彼に追従してきた浮遊板の上に乗っていたシールドの三枚が、右手の方に飛んでくる。
実体化クリーチャーの攻撃をシールドが守ることはないけど、デュエル上ではちゃんとシールドブレイクで済んでいるようだ。
カードを一枚ずつチェックするが、シールドトリガーはない。
だが、新規に加わった以外の手札を一枚手に取って板に叩きつける。
「ストライク・バック呪文、《ルナティック・グローベル》! レッドゾーン、お前は次のターンにアンタップ出来ない。さらに一枚ドローだ」
手札に抱えていたストライク・バック呪文を使い、攻めを遅延させる。
これで次のターンにトドメまで持ってかれる可能性がグッと下がっただろう。
隆侍はそう考えつつ、デッキからカードをドローする。
ルナティック・グローベル
水文明/4マナ/呪文
S・バック─水のクリーチャー(水のクリーチャーを自分のシールドゾーンから手札に加える時、そのカードを捨ててもよい。そうした場合、コストを支払わずにこの呪文を唱える)
カードを1枚引く。
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。そのクリーチャーは、次の相手のターンのはじめにアンタップされない。
そしてそのままターンも移ってきたので、もう一枚引く。
「3マナで《月引力の門》を唱える。手札からコスト5以下のサイバー・ムーンを一体踏み倒す。よって俺は《ルナ・ブルーダイナソー》をバトルゾーンにっ!」
このターンでようやくプレイできるマナに届いたので、さっそく呪文を使用する隆侍。
それで呼び出されたのは、彼と美里にとっての思い出のカードであり、このデッキが生まれた核そのものと言っていいクリーチャーだ。
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