28人が本棚に入れています
本棚に追加
隆侍のサイバー・ムーンたちによる連続攻撃を、レッドゾーンは一身に受けることとなり、デュエマが決着した。
「何とか……勝てたな……つぅ!」
勝利の事実を認識し、ぶり返した痛みで力が抜けて膝を着く隆侍。
思考に霞が掛かっていく。
(ま、待ってくれ……まだ、気を失っちゃ……駄目だ……)
必死に食いしばって意識を繋ぎ続けようとするが、霞がどんどん濃くなっていく。
身体そのものも前へと倒れていく最中、レッドゾーンが視界に入る。
デュエマに敗北したレッドゾーンは、ノイズのように姿を歪ませていき──消滅した。
(美里ちゃんは……無事、なの……か)
その心の呟きを最後に、隆侍は完全に闇に堕ちた。
………………。
《轟く侵略レッドゾーン》が消失し、街を青く染めた空間もまた消えようとしていた。
「適当に発動したリアリゼーションだったのだけれど、ぐつ悪いことになったどすなぁ」
青く染めていた欠片が空へと消えていく幻想的な街の中を、一人の女性が歩く。
吸い込まれそうな闇のような長髪に、同化している程に黒一色の和装を来た日本美人。
その女性が歩く先には、気絶して横たわっている隆侍と美里の姿がある。
「新たなクライマーの出現……。その上、一枚のカードをデッキに昇華しはるとはなぁ」
立ち止まった彼女は袖口に手を差し込み、そこから一枚のカードを取り出す。
それは普通のデュエマのカードと違い、黒いオーラを放ち続けている。
「あての計画の邪魔になるかもしれへん以上、消えておくれやす」
そしてそのカードを隆侍に向けて、投げつけようとした時、
「ヒミコ、待て!」
別の位置から声が響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!