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一階の自分の教室で制服に着替え、さらに購買で惣菜パンを買い終えてから、慧は四階にある生徒会室へとやって来た。
まずはノックを二回行う。
「来たぞ、陽毬」
「うん。入って来ていいよ」
中から返事が返ってきたので、慧はドアに手をかけて横にスライドさせる。
授業で使用する普通教室の半分程度の広さしかない生徒会室には、奥の窓を除いた両方の壁に資料等が置かれた本棚で埋まっていて、中央にはコの字型のロングテーブルが置かれている。
そのせいで、人が座れば本棚との間がほとんどなくなり、移動するのが大変そうだ。
そんな生徒会室だが、今は二人しか中には居なかった。
「おはよー、けーくん♪」
生徒会室に入った慧をまず出迎えたのは、銀色でパッツンの長い髪に赤色のタレ気味の目をした全体的にふくよかな体型の女の子だった。
彼女の名前は、山箸姫南。
彼女はふくよかではあるが、どちらかといえば今の男性にはウケが良さそうな丁度いい体型のようにも思える。
「もう昼だぞ、姫南。こんにちはだな」
慧はその子の名前を呼びつつ、隣の椅子へ座る。
生徒会室の中でも比較的奥の方、もう一人の人物が座っている生徒会長の席から一つ間を飛ばしたところだ。
「こんにちは、城川くん。サッカー、大活躍だったね」
生徒会長の席に座っていたもう一人の女生徒が慧に話しかける。
姫南よりも、もっと言えば美里よりも小柄で、制服でなければ小学生に確実に間違えるであろう背丈の、茶色がかったお尻辺りまで伸びたポニーテールをした女の子。
しかし、彼女こそが慧にメッセージを送った人物であり、現生徒会長の佐下陽毬なのだ。
生徒会長なので、実は彼女は慧と同じ三年生だったりする。
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