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部屋には床全体にカーペットが敷いてあり、テレビ前には様々なゲーム機が置かれている。
ここは行栖が親に頼み込んで獲得したゲーム専用部屋といったところである。
行栖はゲーム機の前に座り込んで、ディスクや端子の入れ替えを行いつつ隆侍に話しかける。
「にしても、すごかったろ美里のやつ」
何のことを指し示しているのか、隆侍は心の中では察してはいるが分からないフリをした。
「……何が?」
「何がって分かってるんだろぉ? ここだよ、ここ」
行栖は一度ゲーム機から手を離し、隆侍の方へ振り返ると自分の胸を両手で示した。
そこで隆侍の脳裏に思い浮かんだのは、先ほど見つめた美里の大きな胸だ。
「……兄が言っていいのか、それ」
「あんだけ存在感放ってたら、気にもなるだろ」
ツッコミを入れてみたが、行栖は特に狼狽えずに返答した。
それならばと隆侍は心の動揺を治めつつ、話に乗ることにした。
「まあ……すごかったな」
「学校じゃ、男子どもの注目の的らしいぜ。美里は嫌がってるけどな」
行栖はそう言い終えると同時に、いくつかのパッケージを隆侍に見せる。
それを眺めつつ、隆侍は会話を続ける。
「だろうな……」
先程、思いっきり凝視してしまったことを心の内で謝りつつ、自分に再開した時に驚いた表情をしていたことを思い出す。
「ってそうだ行栖。お前、美里ちゃんに俺が戻ってくること伝えてなかったろ」
隆侍が発言すると、行栖はニヤリと笑った。
「その方が面白いだろ? 実際、さっきの反応はマジ最高だったわー」
「いやいや、そこはちゃんと伝えてあげろよ」
その場面を思い出してケラケラを笑う行栖に向けて、ツッコむ隆侍。
行栖はイタズラ好きなところがタマにキズなんだよなあ、と隆侍は心の中で考える。
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