タマ、昔話をしようか?

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「……お前一人でやったのか?」 「うん。だって花田君がやっといてって――」 タマの視線につられて花田のほうを見ると、ヤツは「ヤベ」と首をすくめた。 本来の割り当てではここの担当は花田だったはずだ。 まぁ、簡単に想像が付くけどな。 「馬鹿じゃね、お前」 「え? な、なんで!?」 「何でお前が花田の分までやるわけ?」 「あ、だって、花田君とこお母さんが入院したって」 「……」 馬鹿だ、正真正銘の馬鹿だ。 入院してたって出来るだろ、これくらい。 花田が手術するわけじゃねぇんだから。 「だから、えと」 「……別にいいけどな」 「……うん」 こいつがそばにいるせいで、俺は毎日本気でムカついて仕方なかった。
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