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俺は分かっていた
芽吹に料理を教えるのが
自殺行為だと言う事を。
ー今度は芽吹お姉ちゃん…………かー
包丁の切っ先を俺に向ける紫吹
目が完全に狂っている
だが俺だって
伊達に今まで生き抜いた訳じゃない
出来たポテトサラダをスプーンで掬い
紫吹に食べさせる
これで解決だ。
ーお兄ちゃん、これマスタード…………ー
しまった!
紫吹が辛いのが苦手なのを忘れていた
少量の辛味でも紫吹は涙眼になる
芽吹に料理を教える非日常ゆえ
紫吹の事を考えていなかった……
今日が遂に俺の命日か。
ーごめんね紫吹、私がマスタード入れちゃったの、抜いた奴別に作るから待っててー
珍しい
芽吹が俺を庇うなんて
紫吹も不思議がって包丁を下ろす。
ー……うん、待ってるー
残念な表情の紫吹
こっちをたてれば
あっちがたたず
俺はどちらともの味方で在りたい。
ー今日はご馳走作るって言ったから大変なんだ、紫吹も手伝ってくれー
紫吹は明るさを取り戻し
エプロンを着けて料理を手伝う
妹達と3人で料理なんて
恐らく初めてだろう
こんな温かな雰囲気で
姉さん達を迎えよう。
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