第2章 指切りハントガール

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俺はテレビを楽しそうに眺める四人を見ながら 洗い物に取り掛かる この風景は何か懐かしく 少し心に痛いモノでもあった。 《世間一般の家族》というものが 俺の心を痛めているのだろう 赤羽さんが父親で 雪吹姉さんが母親 芽吹と紫吹が娘 どれだけ望んでも父さん母さんは帰ってこない それでも いびつでも代わりがあるなら 妹達の為になると思う 赤羽さんは悩む俺に声を掛ける。 ー手伝いますよ、僕も慣れてますからー ー……ありがとうございますー 赤羽さんは雪吹姉さんとの馴れ初めを話した 仕事の昼休みランチをとっていた赤羽さん 何の気なしにそばを通る雪吹姉さん 空席が無く、二人は相席したらしい 同じ職場とはいえ それまで会話などしたことの無い二人 正直その時は気まずかったらしい そこで雪吹姉さんが会話の種にしたのは 俺達家族の事だったという 次第に幸せそうに話す雪吹姉さんに 赤羽さんが惹かれたらしい 自分の知らない他人の家族の話 それでも真面目に聞いてくれた赤羽さんに 雪吹姉さんも惹かれたんだろう。 ー元来消極的な性格だけど、その時は積極的になれたんですー ーそれは多分雪吹姉さんもです、そんなに恋愛に積極的な方では無いと思ってましたからー
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