第2章 指切りハントガール

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学校に着くと芽吹は友達を見つけて 俺は芽吹と別れた 悩みは潰しても百足の様に仲間を呼ぶ 須玖の為に思い出すべきか 芽吹の為に好奇心を捨てるか 俺の為になるのはどっちなのだろうか。 そもそも思い出すのは本当に須玖の為か? …………止めた もう少しの間は悩むことを止めよう 考えても答えは得られないのだから。 俺はなるようになることを求めている だったら今日も授業を受け 野洲金酒店でバイトをして 家で皆の晩飯を作る そのサイクルが一番落ち着くから だが昼食を屋上で食べる そのサイクルの一つが俺は怖くなった。 それでも生活習慣になっている事は そう簡単には変えられず俺は今日も屋上に上がる。 ー今日は…………居ねぇかー 須玖は居なかった 何故かそれで安心し弁当を広げる 相変わらず旨い ふとあの時を思い出す 屋上で初めて会った須玖の事を 俺の弁当を旨いと言ったアイツ 何か脳にイメージを呼び起こしそうな 既視感と似た感じの。 ー今日も来たのね、お兄ちゃんー 俺は驚いた さっき確認したばかりなのに 俺の背後に立つ須玖 コイツは忍者か何かか…… ー俺ら昔に会ってたんだってな、俺は思い出せないんだけどー その言葉で須玖は俺を睨む 思い出せないんだとしても これは言うべきじゃなかったんだろう 何も知らない 弁当をやって 弁当を食べられる その関係は少し心地好かったから 壊れてしまったのかと 遅く後悔が通る。 ーあなたはそれを私に伝えてどうしたいの?ー そうだ 俺は思い出せないと告白して 一体須玖に何を求めたんだ 自分を許して欲しかったのか フランクに告白し 昔の事を聞きたかったのか どちらにしろ自分勝手だな。 ーすまん、俺の勝手な告白だー ーこれで、許して上げるー 須玖は俺の右手を掴み 自分の小指と俺の小指を結ぶ 指切り………… ー今日の日はさようなら、また会う日までー 突然一節を唄い出した須玖 俺は昔の事を少しだけ思い出した。
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