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野洲金酒店でのバイトも慣れた頃
俺の気は緩み始めていた。
もうこれで万事解決したと
雪吹姉さんの笑顔も戻ったから。
しかし、頭の片隅にはあった
緊張の瞬間が現実になる。
ー陵ちゃん、明日彼を連れてくるわねー
…………………………笑顔だ!
千尋に教わった笑顔を忘れるな俺
緊張するのも当たり前だが
今まで一度も会ったことの無い
雪吹姉さんの恋人
どんな人か不安で落ち着かない。
金髪パンチパーマでアロハシャツの
ーこのダラず!ーが口癖の村の人か
全身緑で電波感の強い
どこぞの河川敷の長か
髭に黒眼鏡、手袋で肘をつく
青髪赤眼の女子中学生を
息子より大事にする秘密組織の司令官か
そんなあり得ない事を普通に考えてしまう程
俺の頭はイカれていた。
姉さんは慌てる俺を心配する
そうだ、あの雪吹姉さんが好きになった人
濃ゆい個性なんて持ってない
優しい普通の人なんだろう
大丈夫、それに明日には分かる事
俺は何か自分に言い聞かせ納得した。
ー分かった、ご馳走作って待ってるよー
主婦感が強い自分の返答が
また虚しいと自分の胸を締め付ける。
…………とりあえず学校行くか
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