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教室に入ると、俺は笑顔を保ちつつ
掃除用具入れをノックする。
冷めた視線で輝が俺に話しかける。
ー何やってんの?お前ー
俺だって今の自分のテンションが分からん
何で俺はパニックになってるんだ
別に普通にしていればいいのに
緊張は
落ち着かせようとする心とは裏腹に増幅していく。
ーホント、なにやってんのよー
教室の扉を開け、芽吹が話し掛ける
何で二年の教室に居るのか聞きたいが…
正直どうでもいい
だがいつもの怪訝な表情とは違い
呆れたといった面持ちで俺を見る
…………何だ。
問い掛ける俺自身分かっていたんだ
不意の事態になった時
俺はどうしようもなく脆い
ただ慌てふためき滑稽な人間になる
それに呆れているんだろう
多分芽吹も不安なんだと思う。
ーしっかりしろ、なんて私も言えないけど、雪吹姉を信じないとー
分かってるさ
俺だって信じてる
遠慮するけど、雪吹姉さんの恋人は結婚してもウチに居ると言ってくれる優しい人だ
不思議と芽吹を見ると不安な気持ちが落ち着く
どうやら兄としてのプライドは
まだ心の何処かに住んでいるらしい。
ーいや、しっかりしないとな、兄貴だからー
芽吹は少しの笑顔と俺を小馬鹿にして
自分のクラスへと戻っていった。
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