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俺は自分の教室に帰り思う
やっぱりどこかで会った事が
だが須玖 恵という名前に覚えは無い
また答えが出ない
だが無回答という返答は
もう十分だ。
ーまた悩んでる?ー
いつもと同じの千尋の穏やかな言葉も
何故か俺をイラつかせた
もう少しで思い出せそうなんだ
邪魔をするなと
その思いは表情にも現れていたのだろう
千尋は毎度の笑顔に悲しさを上乗せし
一言ごめんと俺の前を去る。
ー俺は何をやってるんだー
雪吹姉さんの婚約者の事
思い出せそうで出来ない屋上の少女
自分が抱えた悩み
それを解決出来ない自分の情けなさを
優しい千尋に八つ当たりしてしまった
……………………最低だ。
だが千尋が傷ついたお陰で
俺は前を向くことが出来た
もう何も、不安なんて気にしない
自分が悩んで
優しく相談に乗ってくれる人も
傷つけてしまう位なら
もう迷わない
この間千尋が教えてくれた笑顔も
また忘れていた自分が憎い
今の思いもいつまでと思えば
また俺を弱くする
それなら。
下校時
陵ちゃんはいつも楽しそうだった
何がそんなに楽しいの?って聞くと
家族が自分の作ったご飯を
美味しいというのが待ち遠しいとの事
そんな陵ちゃんを見てるだけで
私は何故か幸せな気分になれた
おばさんが出ていった後
おじさんが亡くなったあの日の
見ていられなかった姿からは
考えられない程の笑顔
その笑顔に、私は惹かれたのかな。
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