第2章 青き炎

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次の日、俺は友人ことメガネを連れ待ち合わせのカフェで待っていた。彼に既に事情は話してあり、誰が来るかも分かっている。 「しかし青い炎に鷺、か……。原因が分からんでもない」 「そうなのか?俺はライトとかで見間違えたと思ってたが」 「それもあるだろう。だがそれ以上にこの事例は科学で解明できるのさ」 メガネがくいっとシルバーのフレームの眼鏡を押し上げる。何かを説明する際の彼の癖だ。そして彼は話し始める。 「”青鷺火”という怪異がある。まあ実際はアオサギではなくゴイサギという種類が主らしいが、鷺の体が青く発光する怪現象らしく青い炎が出ているように見えるのだそうだ」 それは俺も聞いたことがある。確か江戸時代で様々な怪談話に載せられた有名な話で、怪談好きの先輩がそれについて調べていた事を覚えている。 「で、それの原因は何なんだ?やっぱり見間違いか」 「1つは月夜で明るく見えるから、妖怪に見えたというもの。しかしそれでは青い炎の説明にはならない。有力なのはバクテリアが原因のものだ」 バクテリア?俺が聞くと眼鏡は頷く。 「鷺は水辺を餌場にしている。そこに生息する発光性のバクテリアが体に付着し、夜間月の光で光って見えるのだそうだ」 「その光が青くて、それが炎に見えたってことになるのか」 「恐らくは。昔は今ほど科学も進歩してないから、光るバクテリアなど知らない。それで月夜に不気味に光る鷺を見て炎が上がっていると”思い込んだ”のだろさ」 なるほどな、と俺は言うとふぅとため息をつく。何だ、やはり見間違いじゃないか。俺はそう思っているとメガネは、 「まあ、近くに水辺があってそこに生息している鷺なんだろうさ。それに柳の木もよく止まる場所なだけで柳の木にも何もないだろうさ」 「まあ、あいつには悪いがきちんとした真実を伝えてやるか。何ならその”現象”を見に行くのもいいかもな」 そうだなとメガネが言うと、金髪が走ってきた。まだ約束の時間より早いのだが、彼は切羽詰まった様子で息切れしている。 「おう、早かったな。まだ約束の時間の前だが……」 「た、大変だ!俺の、昨日話した友人が、柳の木で、”焼死体”で見つかった!」
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