第1章

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 人類しか神をに救いを求めないけれど、 誰一人に対しても、神は常に傍にいない。  即ち簡単に地球は人類から剥奪された。  救いの手も、奇跡の光も、神の加護も、 何か起きた時、そう思い込む自由はある。  私は無神論者でも無信仰でもないが、 神に万能な力があるとか、願いが叶う等、 そのような都合で、祈ったりはしない。  その昔、私の民族は大きな河に沿って ささやかと繁栄の、どっちつかずな日々。  つまりは、雨が降らず、河が溢れ、 流行の病に斃れ、飢えは癒される事なく、 誰かが誰かの敵になって、憎しみ奪う。  結果、命などは最初に奪われる。  それでも、雨は降る。実りの季節には、 パンとワインを、明日は命の奪いあいを するかもしれない人々同士で分かち合う。  日々の為に日々を暮らし、噂は広がる。 「この町を侵略しようとする輩が来る。」  山間の小さな町で奪うのに値するのは、 女性や子供。男で奴隷に使える者。井戸。 僅かな穀物の蓄え。数頭の牛羊。で、河。  山賊の類か、隊商に扮した強盗団か。 他の都市部からの軍勢か。誰が襲うのか。 山の上からか。町に火を放つだろうか。  唐突だが闇は、アナタに有利か否か?  緊張は高まる。防衛に備える。武器。 訓練。労働の合間に鍛える。長は策を 練り町に、塹壕を掘らせて置く。  女性も多少年長の子供たちも、勇敢に 立ち向かう決意を訴え。賛成はしかねる、 が、男が斃れれば誰も無事では済まない。  まぁ。世界はそういう約束になってる。  偵察に出た、旅人に扮した者達が見た 大まかな情報は、こちらへ向う一団には、 「神に与えられた祝福の石版」を持つ、 預言者なるリーダーがいて、あちらも 女性、子供に老人から病人までいるとか。  世界中の誰もが平等に不幸で上々。  まるで住む町を失って、求めて徘徊し この町を目指しているらしい。水売りを 演じて聞き出したところに由れば。  私達の町は私達の、生活や歴史には 全く関係なくアチラの「神」が勝手に、 その預言者一行を祝福して与えた町。  そういう事なのだそうだ。    我々が譲らなければ、戦になるだろう、 私達が譲らなくてはいけない理由は無い。 民族の強い血液が、縁と業の深さなれど。  アチラの「神」がどう言おうとも、だ。 「神」が特定一部の人間如きだけに祝福と 約束を取り交わす等ありえない。  私達も神の僕であり、祈りは欠かさない。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!