《霧・摩・影・變》シリーズ / 第二話 【陰摩】

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  ホームに止まった新幹線、乗客がぞろぞろと降りてくる   黒い服のいかつい男たちが降りてきて   車両沿いに一列に並ぶ、ドアの両脇に二人   ぴょんと飛ぶように下りた女性、雪絵が手を振る おかぁちゃーん! 走り寄る ゆきえちゃん!     手を取り合い、二人とも嬉しそうに飛び跳ねている よく似た、お母さんだな、可愛い感じの人だな あの、黒服・・・ヤクザでも下りるのかな   ドアをくぐるようにして、ひときわ大きな男が   降りてきた、 お、俺より・・でけぇ・・・まるで羆だ・・・ それに・・あの貫禄は・・   クマのような大男、のそりと下りて   廻りをギロリと見渡した・・並ぶ黒服たちが   緊張してるのがわかる   嫌な予感がする お父ちゃん!!       飛びつく雪絵   まるで小さな子どもを抱き上げるように両手で雪絵を   抱き上げた ゆきちゃん! 会いたかったぞぉ! 満面の笑みだ え・・・・まさか・・・あれ・・・お父ちゃん・・・   雪絵がこちらを指さした お父ちゃん!ひろくん紹介するね!! (え・・・・)   放心状態の岩井   ノシ、ノシと岩井に歩き近づき、目の前に立つ   ギロリと岩井を見下ろす・・   羆のような父親の腕をとってニコニコ笑う雪絵 ひろくん!お父ちゃんとお母ちゃんよ! は、は、は、はじめめま、し、て岩井広海です!   なに、緊張しまくってんのよ! 娘の雪絵が大変お世話になったそうで 命を救ってもらったと聞いています、ありがとうございました   深々と、頭を下げると、後ろの黒服たちも一斉に頭を下げた   二之宮欣三、二之宮一家、組長・・熊殺し、羆の欣三、   などの異名を持つ東北で有名なヤクザの親分である   荒っぽいのが有名で数々の武勇伝を持つが、現在は   災害の復興に尽力していて、地域から感謝される   存在でもある (俺・・・・殺されないよな・・・・・)   本気でビビる、岩井広海だった・・・   すぐ近くのベンチで新聞を広げて新聞に開けた穴から   見ていた岸 なあぁんだ、もっと、面白いリアクション期待したんだけどな   笑いながら立ち上がる 挨拶しとくかな・・・   ごった返す駅のホーム   直立不動の岩井、嬉しげな笑顔の二之宮親子   その、コントラストに、そこだけ別世界のようだった・・      シリーズ 第二話 【陰摩】 - 完 -
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