《霧・摩・影・變》シリーズ / 第二話 【陰摩】

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こんな俺なんかで、いいのかと、申し訳ねぇくらいだよ おっ、着いたぞ・・    先に降りる岸、雪絵の側のドアを開けてやる 荷物を貸しな すいません    言いながら、下りるときに (親御さんのこと、当日まで内緒な)    岩井に聞かれないように言う    いいんですか?と言いたげな雪絵にウィンクする    荷物を部屋まで運び、ドアのところで じゃあ、俺行くからよ、岩井、事務所には当分顔出さなくて いいからな、しばらくは二人でイチャイチャしてろ 六名会も崩壊したしな、当分は平和だろうよ    笑ってクツを履く お茶くらい飲んでってくださいよ いや、いい・・親父に呼ばれてんだ、晩飯は一緒に喰うか はい、是非! あたしがご馳走します!こう見えても 料理は得意ですよ! わかった、楽しみにしておくよ    岸が出て行った ひろくん、傷まない?大丈夫? とりあえず、着替えようか・・・   岩井の部屋着を出して、上着を脱ぎにくそうに   しているのを手伝う   上半身、裸の岩井   背中の傷に指を這わす・・雪絵・・ ごめんね・・こんな大きな傷・・・ 俺には勲章だよ・・・   気づく、雪絵 あ!    クスクスと笑っている どうした? なんか変?   慌てて、洗面台の鏡の方にいく   岩井の脱いだ服を持って歩いてついていく   鏡に背を映して見る岩井 おっ先生、うまいこと縫ってくれ・・・・え?   目を丸くする・・ 神様もオッケーしてくれてるみたいね・・・   雪絵が腕にしがみついた   岩井の背中の不動明王の刺青・・・   大きな傷を縫って、歪みと、縫い傷のせいで   不動明王の顔が、ニッコリと微笑んでるように見える あちゃあ、観音様みたいになってら・・・   岩井も笑った・・・   背中のお不動さんもにっこりと・・・・ さらに一週間後・・・・   新幹線のホームで雪絵の両親を待つ二人・・・    あ、来た!来た!あの新幹線よ!   ワクワクしている雪絵 (実物の俺を見て、驚かなきゃいいけど・・・)    
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