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会社から飛び出てすぐにりえに電話をしたが繋がらない
「新幹線に乗ったのかな・・」
ピロロ~ン ピロロ~ン 電子音
りえかと思いスマホを見るが何も表示されていない
何かを思い出したように鞄の中を探り折り畳みの携帯電話を取り出す
「しまった、営業用携帯持ったままだった」
開いて確認をすると事務の二之宮 雪絵からのメールが来ていた
《課長は会議で留守よ、電話して》
事務所に電話するとワンコールで雪絵がでた
(高野君どうしたの?慌てて飛び出してって。アポは嘘でしょ、何があったの?」
そうだった、雪絵は自分の仕事のことは全て把握してると思い出す
サポートしてくれるのはありがたいが、監視されてるようでたまに息苦しい
雪絵が自分に好意を持ってくれてる事は気づいているが気付かないふりをしている
「うん、あのね俺の知り合いがね殺人事件で警察に追われてるみたいなんだよ」 言ってから〈しまった〉という顔になる高野
慌てて何か取り繕う言葉を探すが何も思い浮かばない
「いや、あの!そうじゃなくて、あれがそれで、、」
しどろもどろになる高野の言葉を遮るように受話器の無向こうで驚いた声を出す雪絵
多分思わず立ち上がってしまったのだろうと想像できる
「ええ!!殺人!!」
「助けに行かないと・・」雪絵の様子を伺いながらゆっくりいう高野
受話器の向こうから一段と大きな声な雪絵の声が聞こえてきた
「ちょっと!なに言ってるの!殺人犯の手助けするつもり!!だめ!だめ!」
「違うよ!芦屋さんはそんな人じゃない!絶対何かの間違いだ!多分すごい困ってるはずなんだ!俺どうしても行かなきゃならないんだ!」
切迫した高野の声に言葉に詰まる雪絵
「雪絵ちゃんお願いがある、、俺の早退理由なんか適当に作っておいてほしいのと月曜から有給を取りたいんだ、でも急だから急病とか身内の不幸とか上手にお願い!」
「・・・・・わかった・・・やっとく・・・」
納得できない様子だがしぶしぶといった感じでいう
「ありがとう!」
「あの、じゃあさ、高野くん!あたしも・・」
(ツー、ツー、ツー) 電話は切れた
「もう!」
電話にむかって怒る雪絵、数秒考えてニンマリと笑う、何か思いついたようだ
デスクに座り直し鼻歌を歌いながらパソコンのキーボードを叩く
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