《霧・摩・影・變》シリーズ / 第二話 【陰摩】

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(一度帰って着替えも取りに行かなくちゃ、よかつた今日が金曜で・・) 明日、明後日は土日で会社は休み有給もまだ残っている 「会社の方はなんとかなるな」 アパートに戻ると久江が掃き掃除をしていた 走り寄る足音に顔を上げて高野に気づく 「ニュース!見たわよ!芦屋くんが!」 「ええ、知ってます」 「まさか・・・」 そこで言葉を切り高野の目をじっと見る久江 「そんなわけないですよ!何かの間違いです絶対!」 「そうよね、そんなはずないわよね・・」 うんうんといった感じでうなずきながら言う  「行くの?」 「はい、行ってきます」 「りえさんも飛び出してったわよ、気をつけてね、見つけたらここに匿ってあげるから連れといで」 答えず笑顔で返すと階段を駆け上がつた。部屋に上がり急いで荷物を作ると また飛び出すようにアパートを出る 階段の下で久江が横に自転車置いて立っていた 「これ乗って行きな、頑張ってね!」 嬉しそうな顔をする高野 「ありがと!久江さん!」大きく言うと自転車にまたがり走り出した 「気をつけてねー!」久江が口に手を当てて大声で走り去る高野の背中に言う 一瞬振り返り久江に手を上げて返事をすると立ちこぎ全速で駅に向かい久江の自転車を走らせた
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