《霧・摩・影・變》シリーズ / 第二話 【陰摩】

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駐輪場に自転車を止めて構内に向かい走りながら気づいた 「しまった!芦屋さんの住所!」 芦屋からのはがきを持ってくるつもりが忘れてきたことに気づく 「なんとかなるか・・・」 どこの街かはわかっている 新幹線の切符を買いホームで待つ しばらくするとアナウンスが新幹線の到着を知らせる 空いたドアから滑り込むように乗りこんで指定席に座るとすぐにポケットからスマホを取り出して芦屋の事件を検索した 《T市、市会議員密室の殺人、現場には芦屋太郎26歳の指紋が多数あり事件に深く関与してる可能性が高いと見て警察が行方を追っているが以前足取りは掴めていない。T市市会議員の・・・・》 記事を読み腕を組んで考える (密室・・どういうことだろ・・) (それに・・芦屋さんはなんで逃げてるんだ?まさか・・本当に・・・) 「いや、そんなわけない・・」声に出して否定する 前の席のサラリーマンが訝しげに振り返りシートの間からちらりと高野の方に目を向けた それに気づいて軽く頭を下げる あれこれ考えていたら眠たくなってきた  考えても何も思い浮かばないので諦めて少し眠っておくことにした 「もう!高野何してんのよ!」スマホに向かい言う 先程から高野にメールを送ってるが返信は来ない、電話もかけたがつながったり切れていたりで高野は出ない     「この様子だと新幹線の中で寝てるわね」 「乗り越しても知らないわよ、ドジなんだから・・」 芦屋の実家のある街の駅に着いたりえ、改札を出ると夕方近い時間だった 駅の周辺にビジネスホテルの部屋を確保しようと迷っていた 「でも、まだここから少しあるしなぁ・・」 「芦屋くんの地元って温泉街の近くよね・・うーん・・」 「よし!行ってみるか!」 そう決めると駅前ロータリーに向かいタクシーに乗り込み住所を告げた・・
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