461人が本棚に入れています
本棚に追加
「アスカ=ベルンツボルンってのが名前で、クリムゾン・ヴァルキリーってのは“二つ名”だよ」
「二つ名?なにそれ」
「二つ名ってのは簡単に言えば、その本人の特徴を表したもう一つの名前だよ。
ランクの高い冒険者や、有名な冒険者は殆ど二つ名を持ってるね」
ネネの話しに、へーとレドは感心したように呟やく。
しかし、まだ納得できていないのか、レドは彼女に再三問いかける。
「何で二つ名ってあるの?別にいらなくね」
その言葉に、ネネはぷっと苦笑した。確かに、彼の言うことは正しい。
普通の人間から思えば、二つ名をつける意味なんてないんだろう。
可笑しそうに微笑みながら、ネネは返答する。
「確かにね、レドの言う通りさ。
でも、二つ名ってのも案外便利なのさ。その者の特徴がすぐに分かるし、名が伝わればランク昇格や、仲間にも強い者が集まってくる」
「へーそうなんだ」
「それに、二つ名ってのは自分がつけるものでもないしね。
気づいたら、周りが勝手にそう呼んでいるんだよ」
「じゃあ、あのムカつく女の人も相当ランク高いんだ」
レドの予想に、ネネは「いや……」と否定して、
「確か彼女はまだEランクだったはずだよ」
「えっ、何で?ランクが高いから二つ名をつけられたんじゃないの?」
「彼女の場合はそうじゃないんだよ。女性で、しかもソロの冒険者、全身が紅いから人目も集まるし、何より美人ときた。
だから周りが二つ名をつけたんだろう。
確かあの子の噂を聞いたのはレドがここに来るちょっと前だったね」
最初のコメントを投稿しよう!