第1階層 邂逅

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「はぁぁぁぁああッ!!」 雄叫びを上げ、両手に握る片手剣を縦に一線。 目の前に立ちはだかる化物を一刀両断した。 『グギャァァァアア!!』 不快な悲鳴を響かせながら、“ダンジョンモンスター”、『キラーアント』の身体は黒い炭と化し、霧散した。 そして、コロンと小さな石が地面に転がり落ちる。 「ふー」 見事敵を倒した人間(ヒューマン)の少年は、安堵の息を吐き出す。 ダンジョンモンスターを倒す事によって得られる小さな石、“魔石”を拾うと、腰に巻きついている“特別製のウエストバック”に仕舞った。 次いで、握っていた愛用の片手剣を、背中に背負っている木製の鞘に収める。 「うーん、傷無し疲労無し」 身体の調子を確認し、首をコキコキ鳴らせる。 問題はない。まだまだ潜れそうだ。 「じゃ、もう少し行ってみっか」 言葉にして、気合いを入れる。 人間の少年。 名前はレド=ウォーカー。 黒髪黒目。14歳。 一ヶ月前に地下迷宮(ダンジョン)に足を踏み入れた“新米冒険者”は、次の敵を探すべく階層(ダンジョンフロア)を彷徨った。
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