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しかし解せない事がある。それは、彼自身の態度だ。
普通、ダンジョンの危機から生き延びた冒険者は、その日一日は命の大切さを噛み締める。
けれど、レドを見てみれば明らかに怒っているではないか。
それも彼が、ここまで怒りをあらわにするなんて珍しい。
客に注文を取っている一人娘のナナも、時折チラチラとレドの様子を窺っている。
気になったネネは、豪快に食事を平らげていくレドに尋ねた。
「アンタは何でそんなに怒ってるんだい?」
「冒険者に助けられたって言ったじゃん?」
「ああ、窮地を救ってくれたんだろ?」
「そーなんだけどさー、その冒険者、俺に“ザコ”って言ってきたんだ。しかも、ザコの癖にソロなんて馬鹿な事はしないほうがいいって。
あったまきたよ」
不満気に愚痴を吐く彼に、ネネはへーと感心しながら口を開いた。
「良い事言ってくれる冒険者もいたもんだねー」
「ちょっとネネさん!それ酷い!」
プンプン怒るレドに、ネネは苦笑して謝る。
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