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そうだったんだ。
あの強さなら、相当上のランクだと思ったのに。
怪訝な表情のレドは、頭が疲れたのか考えるのをやめた。
ご馳走様!と挨拶をして、二階に上がろうとする。
そんな彼に、ちょっとお待ちとネネが呼び止めた。
何?と振り返るレドに、彼女が困ったように口を開く。
「レドさえよかったら、ちょっとナナと話しをしてくれないかい?
あの子、ボロボロなお前さんの格好を見て凄く心配したからさ」
頼んでくる彼女に、レドは二カッと笑って、
「良いよ!」
と元気良く返事をして、タッと踵を返してナナの下へ向かった。
客と話していたナナに、レドも混ざって談話している。
二人の周りにいる客達も話しに混ざり、すぐに店内にいる全員も加わって騒がしくなった。
ふっ……とネネは小さく微笑む。
客達は皆、レドのボロボロな姿を見ていて彼のことを心配していたのだ。
だから皆、へっちゃらな顔でニコニコ笑っているレドに次々と言葉をかけてゆく。
「おいレド、お前死にそうになったんだってなぁ!」
「だからソロなんてやめておけって言ってんだよ」
「んだんだ。そんな早死にすることねーべ」
「お前なー、ナナちゃんが泣きそうになったんだからな。
俺達のナナちゃんを泣かしたら許さねーぞ!」
「わ、私泣いてなんかいません!」
騒々しいが、誰もが笑顔に満ち溢れている。
たった一人の少年がいるだけで、ここまで見ている風景が違ってくるのか。
ネネは幸福感を覚えながら、ふとこんな事を思った。
(アンタは一体、どんな二つ名をつけられるんだろうねぇ)
この少年は、きっと大物になる。
そんな期待を胸に留めながら、死んで欲しくないと願うばかりだった。
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