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私は今日、彼に360万で落札された。
黒い上下の下着姿でステージに立った私に、会場の男たちが次々と声を上げた。
「100万!」
「150万だ!」
私との一夜を落札しようとする男たちの中に、声も上げずただ腕を組んで座っている男がいた。
それが彼……、桐谷真佐人だった。
彼は薄く笑みを浮かべたまま、私の値段が上がっていくのを眺めていた。
興奮する男たちの中で、そんな彼は逆に目立っていて、ステージから見下ろす私の目に止まった。
値段が300万を超えると、声を上げるのは二人だけとなった。
「330万!」
「340万!」
そして350万のコールがされたとき、声は消えた。
「350万!他に、いらっしゃいませんか!」
オークショニアーが煽ってみても、もう誰の声も上がらない。
最後のコールをした男性が笑みを浮かべて落札の余韻に浸ろうとしたそのとき、彼の声がした。
桐谷真佐人が、そこで初めて声を上げたのだ。
「360万」
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