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「双方、礼」
審判の少年が叫んだが、緊張のあまり声が裏返ってしまった。それでも大講堂には失笑の声のひとつもあがらない。無理もなかった。ついにやってきた決勝戦である。東園寺(とうえんじ)派と逆島(さかしま)派の天王山だ。
さすがに進駐軍の幹部以外は、この試合で日乃元(ひのもと)本土防衛の決戦兵器「須佐乃男(すさのお)」の正操縦者が決まるとは知らされていなかった。だが、会場の養成高校生徒たちにも貴賓(きひん)席にずらりと顔を揃(そろ)えた将軍たちの異様な緊張感が伝染しているようだ。大講堂の誰もが息を呑んでいるせいで、3000人近い観客の無音の圧力が、タツオの身体(からだ)に痛いほど押し寄せてくる。
「東園寺くん、逆島くん、前へ」
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