第1章

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「何処にいるのかわかる? 「今昼頃だから飯食ってんじゃね?」 「じゃあ、食堂?」 「かもな。確かこっちだったかな…。」 通路を進んでいくと食堂らしき 場所が見えてくる 「あった、あった。いるかな~。」 入口付近で探していると しばらくして見つけたのか いた、と琴葉に声をかける時雨 琴葉は食堂を見渡しながら 前を歩く時雨についていく 病室には何度も来ているが 食堂には入った事がないため 興味津々なのだ 「あーいた。霧都ー。」 「!まだいたのかよ。」 「屋上でたそがれてた。」 「暇だな、お前も。」 琴葉は聞こえてきたその声に 一瞬思考停止してしまう その声の主、及び時雨の兄には 時雨に隠れて琴葉の姿が見えておらず 琴葉も時雨の兄が見えていない だが琴葉は見なくてもわかった びっくりして時雨の後ろから 声の主を見てみる 「あれ、琴葉ちゃん。 なんで時雨と一緒?」 「木之本先生…。」 「え、知り合い?」 そう、琴葉が声でわかったのは かつて自分の目を担当してくれていた 医者・木之本霧都だったからだ 入院している際によく 談話していたので 覚えていないわけがなかった そして驚いた顔をする時雨に二人は頷く 「琴葉ちゃんは前に俺が担当してたんだ。 それで仲良くなったんだよな~?」 「仲良くなったのかは別として よく相談しにくるようにはなりましたね。」 「琴葉の言ってた先生って兄貴かよ…。」 「悪いかよ。…お前琴葉ちゃんの 目の事聞いてたのかよ?」 「事故だったんだろ?それより さっきの部屋に鍵忘れたと思うんだけど なかった?」 「…これか?」 チャリ、という音と共に 霧都の白衣のポケットから出されたのは お目当てであろう鍵だった
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