第一章・ーおちてるー

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 ここ、変わってないなぁ。  たまに手入れしにくるかな。草刈りとかしなきゃならないくらいぼうぼうに生えまくっているな。  何にも気にならないのかな。ちょっと誰かいたら、怒らなきゃいけないかなぁ。  そうしてふと見ると、ぽつりと庭の片隅に井戸。  そういえば、あったけかな。  底を見ようとして覗いたけど、暗くて意外と深くて、何にも分からなかったっけ。  今なら何か見えるかな。今なら何か分かるかな。  そう思いながらゆっくり近付いて、井戸の縁に手をかける。  ……。  おお。  やっぱりあんまり変わらないか。  やっぱり深くて暗くて、じめじめしていて陰気臭い。  昔のような“怖さ”はないけど、だからといって長時間覗きたいって訳でもないよなぁ。  止めた。
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