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久し振りに実家に帰ってきた。
連絡もなしにきたし、皆出かけているのか人の気配もなかったけれど、実家の空気というものはなかなかにして落ち着く。
少し埃っぽい臭いとか、いつから張り替えてないんだよって破れた障子。それに床や壁、天井にかけての年季が入った黒いシミの数々が俺を迎えてくれた。
懐かしいな。柱にはあちこちに刻まれた背比べの跡まである。
俺も今でこそ身長はそこそこあるけど、小さい頃はよく皆から馬鹿にされて悔しい思いを噛み締めたっけな。
……懐かしいな。
こんなノスタルジックな気持ちに浸れるなら、時々ここに帰ってきても良いかも。
まぁ、あまり帰ると疎まれるか。
そんな他愛もない事をつらつらと考えながら、玄関から廊下を通って破れまくった障子を開けて、暗い和室を通って中庭に続く縁側へと降りた。
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