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 やった、ハンバーグだ。一馬のハンバーグ。  一馬は真面目な顔をして俺を見る。 「それで、昨日のことなんだけど……覚えてる?」 「おおおお、おぼ、おぼ、覚えて、ないっ」  忘れてくれていなかったのか。  嘘にもほどがあるしバレバレだ。やっぱりバレていたようで一馬は目を逸らしてしまった。あぁ、やっぱ後悔してるの。 「ごめん、酒入ってて調子乗った」 「んん、いや、うん。俺こそ、ごめん……」 「……瑛介がさ、ちゅーしてきたから、その、抑えがきかなくなって」  ……ん?  俺がキスしたから、一馬は俺のことを抱いたっていうの? 「俺のこと嫌いになったかもしんないけど……あの、俺、まだ友達で、いたい、し……ほんとごめん」  待って、待ってよ。  一馬は酒の勢いでもあったけれど……お前自身の意思で俺を抱いてくれたの? 「……嫌いになんかならないよ」 「……ホント?」  テーブル越しに、キスをする。  一馬の驚いた顔が面白くて、思わず笑った。 「なん、で」 「俺、今は酔ってないよ?」 「えーすけ、」 「気持ち悪いかもしんないけど、俺、ずっと一馬のこと好きだった。高校の時からずっと」  ずっと好きでさ。嫌われんの怖いから、言えなかっただけなんだ。  そんな思いが伝わればいいなぁなんて、思うんだけど。 「今回上京しようとしてんのも、お前がいるから……馬鹿だよな」 「うん……馬鹿だ」  馬鹿だ、って。認められてしまった。  一馬の方を見ると、それはそれは嬉しそうに頬を緩めて笑っている。 「俺のため?」 「……うん」 「すごく嬉しい、んだけど」  一馬がわざわざ俺の隣に移動してすとんと腰を下ろした。  頭を肩に乗せてきて、擦り寄ってくる。汗の臭いがしてきて、昨晩のことを思い出してしまい顔が赤くなりそうだ。 「俺さぁ、上京した時すっごく足りなくて空っぽになってたの。それでさ、実家に帰った時に瑛介に会って満たされてわかった」  視線が俺の方に向いているのかもしれない。だけど肩に乗っている彼の顔はよく見えなかった。 「俺、瑛介の事好きなんだって」  一馬が肩から頭を離して俺にキスをしてきた。触れるだけの、長いキス。  絶対受かって、上京してきてねだなんて一馬は俺に笑いかけてくれた。
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