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料理上手かよ。悔しいなこんちくしょう。
料理と一緒に缶ビールやらカクテルやらがたくさん出てきた。
「瑛介、飲めるだろ?」
にっかりと笑う一馬からビールを受け取って缶のプルタブを開ける。
ぷしゅうと軽やかな音が響いてそれを口付ける。
勢いよく酒を煽っていく。
良く飲むな、なんて一馬が苦く笑った。
酔っ払った勢いとしてしまえばできるだろうか。なんて酒を理由にする気満々の気持ちで一馬に近付く。
一馬は不思議そうに首を傾けながらも笑顔で「大丈夫か?」と酒に強くない俺のことを心配してくれていた。あぁ、そんなんだから、好きなんだ。心配症。
一馬に顔を近付けて触れるだけのキスをする。それだけでたまんなくなって顔を赤めたが、酒のせいでそんなこと彼に伝わりはしないのだろう。
「瑛介!? 酔っ払いすぎだろ……っ!!」
驚いたように目を見開いて、酔っ払いの所業だと思ったのか一馬は苦く笑った。
「かずま……」
自分のものではないような俺の甘えた声に、一馬は笑顔を消した。
固まっている一馬を押し倒してもう一度キスをする。するりと手を服の中に入れて体に触れよう……とすると、手を制されて拒まれる。
酒入ってても駄目か。そうだよな、友人とはいえ男に触られるなんて気持ち悪いよな。
「瑛介、酔ってる?」
一馬の問いに「酔ってるかも」と馬鹿げた返答をした。
もう一杯酒を煽ろうと一馬の上から起き上がって缶チューハイに手を伸ばそうとした。
その瞬間、ぐらりと景色が傾いて反転する。次に目を開けた時に映ったのは、天井と、自分を押し倒したらしい一馬だった。
「かず……っ、ん!」
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