プロローグ

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なに、それほど珍しいことではない。 帰宅部の女子生徒たちの「今からカラオケ行こうよ」という華々しきBGMを聞き流しながら、私は校舎を背に校門を通り抜けた。 私が思ったことをうまく話せないというのは、物心ついた頃からだ。 幼稚園のお遊戯で「赤ずきん」をやった時、私は自ら立候補してオオカミ役を買って出た。 しかし1回目の練習の時に、「お前を食ってやるぞ」が「おま、くるる、ぞう!」になってしまい、即降板。それから私は”オマクルルゾウ”という、新種の象としてのあだ名で小学校でも名を馳せた。 残念ながら、未だに象をテレビなどで見ると、変な汗をかいている。 兎にも角にも、うまく話せないことを言い訳にしていれば、それこそ産んでくれた親を恨んでしまうことになる。 だからこそ、私は探す。きっとどこかにそんな私ごと受け入れてくれる、寛容で寛大な美しき心の黒髪ショート女性がいるはずなのである。 やはり息巻いたとしても私はまだまだ子供なのだろう、学校から一刻も早く出たい衝動にかられてしまい、つい校門を出てしまった。図書室に行くというスケジュールをくずしてしまったのである。 「やれやれ」 私はわざとらしくため息をつくと、学校近くにある公共の図書館へと向かった。
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