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結局、カップ麺20個で手を打ち、仕方なく公園行きを了承した。
友人は嬉しそうにしながら酒を飲むのを再開して、気分良く飲み帰宅した。
「もう夜の11時だぞ……全く、アイツが来たら疲れる……ああ、めんどくさいなぁ。」
「怠惰は立派な罪ですよ?お兄さん。」
………?
……………!?
考えろ、この部屋には俺しかいない。しかし今確かに後ろから声が聞こえた…
「あれ?聞こえてません?おかしいなぁ。」
もう確信だ。後ろに何かいる。お化けだとか妖怪だとか信じた事のない俺でもわかる……確実に生きた人間じゃない。
俺は、恐る恐る後ろを向いた。
「あれ?やっぱり聞こえてましたよね?こんばんは、地獄から参りましたお迎え課の鬼です。」
そこに立っていたのは、紺のスーツに身を包み、肩にかかる程の長さの黒髪の若い男だった。
「お迎え課…?鬼…?」
目の前の自称鬼は、どこからどう見ても人間だった。が、しかし。
「お前……影がないな。そうか、やっぱり生きた人間じゃない事は間違いないらしい。」
「流石ですね。普通は慌てふためくとか、不法侵入だとかで怒り出すか、恐れるとかですけど、貴方は至って冷静だ。」
「冷静?それどころか喜びすら感じてるさ。お前、お迎え課だとか言ったよな?なら、このまま苦痛なく俺を連れていく事だって出来るんじゃないのか?」
「残念ながら……我々は直接手を出す事は出来ません。あくまでも我々は抜けた魂の回収が仕事ですので。容れ物がある魂に触れる事は出来ないのですよ。」
「はぁ……なんだよ拍子抜けだ。期待して損した。じゃあ、お前は何しに来たんだよ。」
俺は呆れて、椅子に座りながら鬼に問いかけた。
「実はですね、我々は魂の回収をする為に、現世の人々の死期と死因が事前にわかるんですよ。ですが今回、思わぬ事態が発生しまして……」
「思わぬ…事態…?」
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