怠惰―惰性と堕性―

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「まず1つ。一年前、本来死すべきでは無かった魂が手違いにより死んでしまいました。不測の事態でしたので魂の回収に間に合わず、思念の強さも相まって生者と交流を果たしてしまったのです。その魂は回収したものの、本来死すべきでは無かったので受け入れ先が無く、天国の協議の結果、交流を果たした最愛の方が召された時に共に天国へと案内するという形になったのです。まぁ幸せな死後の形ですね。」 鬼は淡々と語り出すが意味がわからない。それと今の状況に何の関係が… 「しかし、幸せの裏には不幸が必ずあります。光に影は付き物です。次の日曜日、本来なら貴方の行く公園にはその魂とその最愛の人が行く予定だったのです。デートで告白の為に。しかし予定は狂い、その日公園には貴方の友人とその子供、そして貴方と……死すべきでは無かった魂を死なせてしまい、職を追われ自暴自棄になったドライバーが集結してしまいます。」 一年前……死すべきでは無かった魂…ドライバー……交通事故か?…いや、そんなまさか…… 「もしかしたら察してらっしゃるかも知れませんが、死すべきでは無かった魂とは貴方の元部下の女性です。貴方が心を壊すきっかけにもなった事件は、本来起こる筈が無かったのです。」 そんな……あの事故が……起こる筈無かった…だって? 「地獄側としても、天国側の尻拭いの為にこれ以上の不測の事態は対応出来かねますので仕方なく現世に介入するハメになった訳です。」 「これ以上の……不測の事態…?」 「ええ、本来起こる筈の無かった死によって流れが狂い、貴方の友人とそのお子様はドライバーに刺殺される事になってしまいました。我々も狂った流れの調査に手間取ってしまい、ギリギリになってしまったのです。」
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