怠惰―惰性と堕性―

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「狂った流れってのは…どうやって止められるんだ?」 「まず、アナタが公園に行く事。 そしてドライバーとアナタの友人とその子供の接触を防ぐ事。簡単に言えばそれだけです。」 「そ、それだけでいいのか?もっとこう……何かしないとダメとかないのか?」 「ええ、それだけなんです。たったそれだけで流れは修整されるんですよ。人の出会いやふとした時に目にするモノは、時として人生すら左右するでしょう?たったそれだけには、多大な影響があるモノなのです。」 簡単じゃないか。それだけなら何とか俺にも………ん? 「何を笑ってんだよ?」 「あぁ、失礼しました。先程まで死にたいと仰っていたのに今では先を見据えて行動をなさろうとしている姿につい頬が緩みました。」 「い、言っとくがな!消えたいって事に変わりは無いんだからな!」 「そういう事にしておきましょう。さて、とりあえずその日の流れを説明しますので覚えて下さい。」 「今から覚えるのかよ………」 「余り時間がないのですよ。そんなに何度も現世に介入は出来ないので。次に現世に来れるのもいつか分かりませんし。」 「あぁーっ!!分かったよ教えろ!全部覚えてキッチリとアイツの命を救ってやる!何もかもが狂ったこの事件もこれで終いだ!それでいいな!?」 「ええ、本当にありがとうございます。このお礼は死後、何らかの形で返させて頂きます。」 なんかヤダなそれ………死んだらお礼が待ってるぞぉってか……いや、死にたいと思ってたけども…… その日俺は、鬼とやらの言う流れをメモに取り、必死に覚えた。過去の過ちにも、こんな俺の事を見放さなかった友の事を救う為にも。新しい一歩を踏み出すきっかけが手に入ったんだ。考え方を変えれるかはわからないけど、それでもやってみるしかない。
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