怠惰―惰性と堕性―

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元々俺は普通だった筈だ。 けど、人間なんて案外脆い生き物で。 幾つか悪い事が重なるとこうなる訳だ。 張り詰めていた糸が切れたかのように、ある日ふと全ての事が面倒くさくなった。 仕事も、交友も、何もかも。 そうなると後は簡単で、仕事を辞めて連絡を絶って。それでも家まで来た奴は大体怒るか呆れるかして離れていく。 それでもまだ、声を掛けに来る奴がいる。 さっき携帯を見たら嫁と喧嘩したと連絡が入っていた。きっと今晩、酒でも持ってウチに来るのであろう。 何を好き好んでウチに来るのか… わからないが、眠ろう。 とりあえず、昼飯も終わったし寝よう。 寝ている間は現実なんて見なくて済むから。ただただただただただ寝よう。眠ろう。横になり瞼を閉じて、意識を手放そう。
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