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落ち着いた心がざわめき始める。
それが制御できなくなる前に、わたしはまだ、友達に向けての言葉を返す。
「え……わたしは、別に……普通の、友達て感じ」
素直になればいいのに。
バーチャルで、素直になれないなんて。
「じゃあ、協力してくれない?」
とっくに女の子になっているメグは、どんどんと攻めてくる。
「協力?」
わたしは、ただ尋ねることしかできない。
「イベントしようよ」
画面の向こうの彼女は、どんな顔をしているんだろう?
わたしは、心がバラバラになりそうで。
追い出したものが、砕けて戻ってくる。
そのかけらは、とても鋭くて。
わたしに突き刺さる。
わたしは、ようやく勘違いに気づいた。
それは、追い出してはいけないもの。
それは、否定なんてしようもないもの。
それは、否定すればするほど、後で自分を苦しめるもの。
十代の女の子じゃない。ちゃんと知っていたはずなのに。
わたしは、そんなことも忘れていた。
それでも、もうわたしにはどうしようもなくて――
「明後日から、イベントやります」
深夜に書き込んだのは、そんな言葉。
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