三章 にわか雨

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 落ち着いた心がざわめき始める。  それが制御できなくなる前に、わたしはまだ、友達に向けての言葉を返す。 「え……わたしは、別に……普通の、友達て感じ」  素直になればいいのに。  バーチャルで、素直になれないなんて。 「じゃあ、協力してくれない?」  とっくに女の子になっているメグは、どんどんと攻めてくる。 「協力?」  わたしは、ただ尋ねることしかできない。 「イベントしようよ」  画面の向こうの彼女は、どんな顔をしているんだろう?  わたしは、心がバラバラになりそうで。  追い出したものが、砕けて戻ってくる。  そのかけらは、とても鋭くて。  わたしに突き刺さる。  わたしは、ようやく勘違いに気づいた。  それは、追い出してはいけないもの。  それは、否定なんてしようもないもの。  それは、否定すればするほど、後で自分を苦しめるもの。  十代の女の子じゃない。ちゃんと知っていたはずなのに。  わたしは、そんなことも忘れていた。  それでも、もうわたしにはどうしようもなくて―― 「明後日から、イベントやります」  深夜に書き込んだのは、そんな言葉。
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