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イベント用に板を作る。参加してくれる人に告知していく。
あなたは、彼と、彼女とコンビです。
それ自体はどうということもない、ただの擬似カップルイベントで、。これがわたしが主催する初めてのイベントってわけでもない。
ただ、メグに――
「ダイとカップルだよ。盛り上げてね」
――って打つのが悔しかった。
ダイに――
「メグとカップルだよ。絶好のチャーンス!」
って打とうとすると、なぜだか指が震えて、打つのに時間がかかった。
「何がチャンスだ」
ダイから来たその返事に、まったくだよねー、って返したかった。
でも、できない。
なぜなら、グルのわたしはわたしであって、わたしじゃないから。
みんなの居場所を守る、明るくて優しくて、いつも笑顔のヒラだから。
だから、返すのはいつものおちゃらけたメール。
「チャンスだよー。メグ可愛いでしょ? うりうり」
「うりうりすんな」
ダイが反応してくれるのが嬉しい。楽しい。
それだけで、頑張れる。
――ごめん、嘘。
本当は、その楽しさを、優しさを、わたしにだけ向けて欲しい。
自覚した恋心がそう囁く。
わたしは、それに――頷きたい。
でも――できない。
――だって、ダイが話してくれているのは、わたしじゃなくて、ヒラなんだから。
ヒラはそんなこと言わない。
言ったらきっと――嫌われる。
わたしは他愛もない会話を演じ、そして――もやもやしたものを楽しさで塗りつぶそうとしていった。
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