四章 霧の中を

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 イベント用の板は誰でも見れる。  だから、どこからどう見てもメグがダイをリードしているのは誰の眼にも明らかだった。  けれども、ダイはもしかしたらリードされていることにも気づいていないかもしれない。  ダイはこの恋グルに入ってくれたけれど、多分、普通のいい人。  現実に恋愛の修羅場も、どうしようもない恋の辛さも、多分それほど味わっていない。  男の人はそれでいいと思う。  ――でもね、ダイ。  わたしは心の中でだけ語りかける。  ――女の子は、違うよ?  ――女の子は、恋に自分のすべてを使うの。  ――振り向いてもらうために、あらゆる手段をとるの。  それは相手に優しくしたり、ライバルとこっそり腹の探り合いをしたり、そういったことから始まって。  計算だってするし、駆け引きだってする。  大好きだったら、ためらわない。  大好きになってもらいたいから。  ――だからね、ダイ。  ――恋心を持たせるように仕向けるの。  ――でも、あなたはそれで、いいの?  ――人に貰ったコイゴコロで、本当にいいの?
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