四章 霧の中を

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 何がきっかけでそんな事を考え始めたかはわからない。 「旦那はもちろん大事だよ。でもねー、何て言えばいいのかな……ドキドキはしたいの」  もしかしたら、メグのこんな書き込みを見たせいかもしれない。 「わかるよ。俺も同じだから」  もしかしたら、ダイのこんな書き込みを見たせいかもしれない。  ただ、わたしは決意した。  メグが恋愛上手を存分に発揮して、ダイを導こうとするのなら。  わたしは、ダイを受け止める壁になる。  真っ直ぐに進むダイが、わたしの気持ちという壁にぶつかって、立ち止まってくれるように――  わたしは真っ直ぐ勝負する。  わかってるよ?  そのやり方じゃ、勝ち目が薄いくらい。  でも、何もせずにはいられないの。    ああ、もっと早く認めておけばよかった。  イベントなんてしたくない、って言えばよかった。  コイゴコロに背をむけても、いいことなんて一つもない。  ――だって、背を向けても、気持ちが消えてくれるわけじゃないんだから。  そうだ、わたしだって女の子。  全力で、真っ直ぐいこう。  他にもう方法はない。  わたしは、その夜ダイにメールを送った。  グルの外での絡み。  しかもイベントの最中。  主としてわかっている。  ルール違反だって、きちんとわかっている。  ――でも、もう止まれない。  止まりたくない。 「夜中にごめんね? 大事な話があるの。起きてたら、返事ちょうだい」  そんなメールに、返事はすぐに来た。  深呼吸を一つして、わたしは普段の倍以上の時間をかけて、メールを打つ。  
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