第2章 春疾風 ~花吹雪の中で~  

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口は悪くて、ぶっきらぼうだけど、あったかい。 春の陽気のせいだけじゃ、ないよね。 颯も弁当を食べ終えると、何を話すでもなく、ただ座っている。 気の抜けた眠そうな顔をしている。 「おっ、部活だ。ごちそうさん。美味かった。あんがとな。」 急にスクっと立ち上がり、 「ほれ。」と言いながらコンビニの袋ごと葉月の手に乗せる。 袋の口から見えたのは、二個のプリンだった。 颯は何の説明もなく、肩掛けのバッグを持ち上げる。 「あ、ありがと。」 プリン二つ、一緒に食べるつもりだったのかな。 葉月は、座ったまま、眩しそうに颯を見上げた。 颯は、二、三歩離れると、振り向いて葉月をじっと見つめる。 「好きな奴、いるんだろ。・・・よかったな、早く立ち直れそうで。」 颯の言葉に、葉月は動けなかった。 急な突風に、桜の花びらが景色を覆うほど乱れ舞い散る。 葉月は思わず髪を押さえ目を瞑る。 風がおさまり、顔を上げた時にはもう、走り出した颯の背中は、見えなくなっていた。
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