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「お前、なにやってんの?」
「はい?」
ゼミが終わり、建物から出てきた葉月を待ちかまえていたのは、腕を組み、仏頂面で問いかける高村颯だった。
壁に寄りかかりながら、ジロリと睨んでいる。
私、何かしましたっけ?
急に言われて動揺する葉月。
「遠山先輩~~!これから、ご飯行きませんか・・・あ・・・」
建物から出てきた後輩に声を掛けられ、振り返った。
二人の後輩は、葉月の後ろに立つ颯の顔を見るなり、
急にしどろもどろになる。
「あ・・・やっぱ、いいです。」
背後から颯のばか丁寧な言葉が聞こえる。
「先日はどうも、ありがとうございました。
双葉亭、またいらして下さい。」
「あ、いやぁ・・・じゃあ、先輩!オレらはこれで、失礼しま~~す。」
どういう訳か、引きつった顔で、そそくさと逃げるように去っていった。
再び、前を向けば、颯が眉間に皺を寄せ、更に怖い顔で走り去る後輩達を 睨みつけている。
「え?あの?」
状況がつかめず、颯と後輩達へ交互に視線を走らせる。
「お前が、そんなんだから変な奴に引っ掛んだろ。」
「えぇ?ただ、ゼミのこと教えたら、今度食事行きましょうって・・・」
「下心見え見えなんだよ、あんな奴ら。いくら、杉崎さんに似てるからって・・・」
その名に、葉月の顔が強ばった。
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